窓を開けて
入院中、私はずっと窓から外を見ていた。
窓を開いて冊子のある向こうの外。
なんか色々感じた。
制限のされた中で外を見ると、
外と中の違いなんてあるのかな?
と。感じて。
ジョギングする人々、
お散歩する人々。
荒野。
あ、こんなになってたんだ。
街は。
私はひたすら北の方角を眺めてた。
桜が咲ききったら、
退院する。
そう意地でも心に刻んだ。
一緒の部屋の人と外を眺めた。
過去の話をする人、
世界観から離れない人、
外を見るのが嫌な人。
『外を見ると、どうしても、この世のものとは、思えなくて。』
と、隣の人が言った。
それも分かる気がした。
たくさんの価値観や世界が混ざり合う中で、
自分には何が出来るのかと、
考えては浮かばない。
あの日の朝見た、
金のシャワーのような昼の太陽の光。
それだけはずっと信じたいと思う。
窓を開けて。